作っている途中 一覧

あと3日で、個展です。

ようやく、いや、いよいよ個展です。
前回の個展から時間をいただいた分、作品もそれなりの数がそろいました。
めくるめくヤスリがけの世界がここ3ヶ月の僕の楽しみ・・・でした。
きってもきっても、やすってもやすっても、いっこうに終わる気配のない部品の山。
とにかく一個ずつ、一個ずつ。
どんな小さなパーツにも面は存在するわけで、
その面と面とが交わる場所には角があり、
角があるなら木工家は面を取らねばならなぬ生き物。

どこに納得があるかって、そりゃ自分で決めるしかないわけで、
自分が納得できるまで手を動かし続けるしかないわけです。

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納得の作品、仕上がっています。
ぜひ見にきて下さい。

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毎日新聞。

毎日新聞3月19日号の地域面の「人ふでがき」という欄に掲載していただきました。

時間に余裕のある時期だったので、記者さんとゆっくりお話ができ楽しかったです。
新聞記者さんというと、何故か自分より年上の人が取材に来るだろうと想像してしまいます。
以前取材していただいた他紙の新聞記者さんが
自分より2歳くらい年下と聞いた時にも驚きがあったのですが、
今回は一世代、あわや平成生まれか!?という若さ。
いやこれ、単に若さに驚いてるんじゃないんです。
落ち着き払った受け答えや風ぼう、貫禄とは言い過ぎかもしれませんが、
一見すると想像通りの年上の記者さんがそこにいます。
まるで新聞記者という職業に必要とされ鍛え上げられる内面的な年齢と、
本人の実年齢とのギャップをうめるように、
容姿さえ変容させてしまうのかという、人間の可能性に対する驚きです。(大げさです)
長野に来て10年以上が過ぎ、それと同じだけの作家活動をしてきました。
「お前の言うことはいつも大げさ」と叱られることの多かった僕ですが、
「地方から文化発信を」との見出し「中げさ」ぐらいには聞こえますでしょうか。
まだまだか!
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入院、退院。

先日、ぽ太が足を怪我したとの連絡があり、早急に入院してもらうことにしました。
ご家族の段取りがよく、メールの写真で怪我の具合を確認し、
怪我した箇所を崩さない様に、送っていただきました。

「立てないよ~。」
診察すると、足の後ろ側が少し割れてしまっています。
表面的な割れ方は小さいのですが、以外と深く割れている様子。
どう治療すべきか、少し悩みます。
木は繊維の束で出来ています。
ちょっと詳しく言うと、
セルロース(繊維素)をリグニン(木質素)が接着し固くしています。
イメージとしては、髪の毛を束ねて、
その隙間隙間に接着剤を染み込ませ固めている感じです。
地上から空の方向にのびる繊維の束をリグニンで固めたものが樹木です。
そう考えると、何メートル、何十メートルにもなるものとしては弱そうですが、
繊維の束であるからこそ、柔軟性があり、風や揺れ等に強いというわけです。
木が割れるというのは、
繊維同士の接着力より強い力が加わり、繊維が離れてしまった状態のことです。
線維が離れてしまっただけなのだと考えれば、
リグニンに代わる接着剤で正確に接着してやれば、
元通りに直すことができるということになります。
またちょっと詳しく言うと、
木を繊維に平行(立木では地上から上の方向)に分離するのを木が割れるといい、
木を繊維と交差(立木では地上と水平方向)して分断するのを木が折れたと言います。
木製のものが「壊れ」るほとんど場合、分離と分断のミックスです。
分離の割合が多ければ直しやすく、分断の割合が多ければ直しにくくなります。
簡単に言うと割れた作品を直すよりも折れた作品を直すことの方が難しくなります。
ただ、木は割れよりも折れに強いのでご安心を。
今回の「壊れ」は、ほぼ分離なので直しやすく、助かりました。
離れてしまった繊維をしっかり結びつけるためには、
きっちりと繊維の間に接着剤が行き渡らなければなりません。
そのために、ちょっと痛そうですが、割れた部分を一旦完全に離してしまいます。
適切な圧力をかけて固定してやれば、接着剤はいわゆる木工用ボンドがいいです。
完全に乾燥固定させるため、削ったりやすったりするのは次の日まで待ちます。
歪んでいた面を調整して、ヤスリをかけ、オイルを塗れば、ほら元通り。
怪我をしたのが、右足だったか、左足だったか、僕にも分からなくなりそうです。
厳密に見ると、繊維の断面(木口)に少しボンドのしみが見えます。
ぽ太は、ひょっこり立ち上がって、「あれ、怪我した足はどっちだっけ?」
とのことなんで、はれて退院です!
僕の作品をお持ちの皆さま、
不注意で作品が怪我してしまったり、へこんでしまっても、
ご自身はへこまずにご連絡ください。
僕も製作中に不注意で作品に怪我をさせてしまったり、
予想外の割れや節が発生したりして、修正することがあります。
もの作りをしていて失敗をしないということはおそらく不可能で、
失敗をすること、それを直すことを含めて、作品づくりだと考えています。
なので僕は修正したからといって、それこそ手をかけた作品なのだと考えて、
他の作品と何ら変わらないず、と胸を張って個展に並べています。
怪我や病気をして治った人(作品)と考えれば、当然のこととも思います。
ものが「壊れ」た状態を、
捨てる前の状態と考えるか、直す過程の状態と考えるかで、
ものの命が決まるのだと思います。
僕たちの寿命はずいぶんと延びたのに、
ものの寿命はずいぶん短くなったように思います。
少なくとも僕の寿命が終わるまで、僕が責任を持って治しますので、
作品が怪我や病気の際は、ご連絡くいただくか、個展の際にお連れください。
怪我や病気を抱えたとしても、なるべく長生きしたいものです。
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