2009年09月 一覧

【 デザインの価値観<ちから>プロジェクト 】報告。

先のブログで紹介しました、武蔵野美術大学木工コースを中心に、
女子美術大学、沖縄県立芸術大学、山口県立大学と共同で行なった
横浜の展覧会の報告です。

 
 
 
 
 
 
 
 
(写真は学生、作家、卒業生の作品。全て載せたいところですが、
慌てて撮ったのでだいたいボケボケ、良く撮れていた作品を一部紹介。)
1929年に第一銀行の横浜支店として建てられた、歴史的建造物である
ヨコハマ・クリエイティブシティ・センターに、
作家やデザイナーの卵達の想像と情熱が、ところ狭しと並びました。
若者のエネルギーが凝縮された様は、なかなか壮観です。
最終日には山田節子さんの特別講義があり、ぼくも聞きに行ってきました。
デザインとは、「もの」そのものをデザインすることだけではなく、
見せることや環境をつくることなど、私たちの周りにある全てはデザインされていて、
そのデザインの善し悪しを最終的に決めるのは、
デザインする者の生き方、人間性に属するとのお話でした。
パッと見によいデザインをつくることは、多くの人に出来ることかもしれませんが、
その中身まで磨き上げることが難しいのは、
人間自体ののそれと同じであり、一朝一夕にはどうなるものでもないということでしょうか。
なんとも考えさせられる講演でした。
講演の前に山田さんと話をしていて、印象に残ったことがあります。
「もうこれからは、物は売れない時代なの。」
なんとなくは分かっていることではあるけれど、
30年以上銀座松屋の売り場のコーディネイトを担当し、
日本の生活文化をつくり出し、さらに次の時代を見据えた、
その言葉には説得力というか、摂理のようなものを感じます。
しかし、だとするならデザイン、
狭い意味でのデザイナーという職業は在り続けるのかという疑問が生まれます。
デザイン(意匠)はもともとは工芸として括られていた総合的な創造活動の一部が、
近代化、産業化の中で分化したものと言えます。
「物は売れない時代」とは物が溢れてしまった供給過多と、
環境や資源といった次なる希少価値をめぐる反消費によるものでしょう。
もしくは、一部進んだ(?)人達に見られる「たるを知る」という
価値観によるものかもしれません。
産業化が行き着くところまでいき、経済構造を次の時代にシフトしなければいけない今、
デザイナーの在り方もまた見直されなければならないでしょう。
先進国における消費の落ち込みと同時に、
グローバル化によってもたらされる、消費文化、趣味、流行のボーダレス化は、
一部の企業の一商品を数千万個、億個単位で売ることを可能にしています。
「無駄」の入る隙、一切を排したコストダウンは、
グローバル化と生産・流通・売り場の一元管理を行なえない
「無駄」のある企業の入る隙を市場から排除し、単一な商品がどの国にも並びます。
これらが意味するのは、デザイナーが活躍するであろう場が急速に失われつつあることです。
物が売れなければ、物を生産できず、デザインは不要です。
冷え込んだ市場の中で一部売れている物というのは、
数千万個も売れる超コストパホーマンス良しな商品ですから、
今までは一万個も売れれば存在できた千種の商品がコスト競争に負け、
売れなくなり淘汰されたと考えられます。
一種の物が千種を淘汰するということは、(飛躍しますが)
1000人のデザイナーの仕事を1人で可能にします。
デザイナーの仕事は減っても、毎年デザインの勉強をした若者が社会人になります。
発展途上と言われていた国々でも、経済発展は教育力の向上も伴い、
消費文化の中で育ち、それを輝かしいものとする新世代が、
デザイン教育を受け、高いデザインセンスを発揮しはじめています。
グローバル社会においては、才能さえあれば国境はありません。
それ以前にでさえ、世界的に活躍した日本のデザイナーがいることを考えてみれば、
みずみずしい才能と消費社会にまだ肯定感をもてる環境を持ち合わせた
有能なデザイナーが、
中国、インド、ベトナム、タイ・・・と次々に現れてくるのは必然です。
あまりクリエイティビティを必要としないデザイン分野においては、
安い労働力を求めて、かつて生産工場をそうしたように、
海外にアウトソーシングするのが普通になるでしょう。
(すでに、コール

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〈CHIKARA〉project

展示会のお知らせです。
大学の恩師からのお誘いで
横浜は本町にあるヨコハマ・クリエイティブシティ・センターにて開催の
【 デザインの価値観<ちから>プロジェクト 】に作品を展示します。
次の個展の新作にしようと制作していた16号17号を展示しようと、
話を頂いてから急ピッチで制作してきたのですが、
展示会まで一ヶ月の時点でギリギリ間に合わないと判断。
途中まででき上がっていた前回個展の新作12、13、14、15号の
「ニッチモとサッチモ」「シノとゴノ」に切り替えました。(同じ作品の2セット目です。)
切り替えたのはいいものの、こちらもギリギリセーフ・・・いや、アウトか・・・。
展示会まであと数日、どうにか滑り込みたい!というか何としても終わらせなきゃです。
そんな訳でここのところ余裕のない日々です。
さて、展示会の内容はと言うと、
武蔵野美術大学、女子美術大学、沖縄県立芸術大学、山口県立大学の
学生さん達の作品が中心の展示会で、
武蔵野美術大学の木工コースの学生さん達からはチェストやテーブルウェアが、
その他の大学からはファッションデザイン学科の学生さん達の作品が並びます。
その中に、先輩のひとりとして参加することになりました。

卒業後も活躍している同期や先輩と一緒に作品を並べるということも
沢山の後輩たちに先輩としてみられるということも
今までにない緊張感で手にあせ握ります。
それにしても
学生のうちから、社会に向けて作品を発表できるなんてうらやましい限りです。
きっと学生さん達も今頃手に力を込めて制作していることでしょう!

19日には島添昭義さんの特別講義が23日には山田節子さんの特別講義が予定されています。
横浜の町は今年開港150周年で沸いているそうです。
秋の連休のお出かけの1つに横浜探訪と合わせてどうぞお出かけ下さい。

■日時 :2009 年9 月18 日( 金)~9 月23 日( 水) 11:00~19:00(最終日16:00 まで)
■会場 :ヨコハマ・クリエイティブシティ・センター(YCC) 3F スペース

     〒231-8315 横浜市中区本町6-50-1
     Tel. 045-221-0325 Fax. 045-221-0215
■入場料:無料
■公開特別講義のお知らせ
9月19日(土) 14:00~15:30 島添昭義 氏 [ テーマ:デザインの価値観について I ]
9月23日(水) 14:00~15:30 山田節子 氏 [ テーマ:デザインの価値観について II ]
 
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