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4月, 2010 | nakagawa takeji

2010年04月 一覧

『進化』を求めて。

前回のブログで、自分の作品を「ヘンテコ」なといい、
さらにそれをいい意味だと書きました。
すこし分かりにくい話なのですが、どうぞおつきあい下さい。

普段一人で工房で仕事をしている僕は、

個展に来てくださった方とお話をするのが、会期中の楽しみの一つです。
今回は特に若い作家さんや学生さんと話をする機会が多かったようで、
話の最後にはどうしても、ある同じような話題になりました。
それは、僕たち工芸家や芸術家などの表現活動で生きて行こうとする人は、
好きなものを作ることと、それでおまんまを食って行くことの間で、
右往左往、時にどっち行っちゃうの?てくらい迷走してしまうというような話です。
結局のところ、僕も未だに答えが出ていないし、
もしかしたら(おそらくは確実に)一生つきまとう問題なのだと思います。
なぜなら、
誰もまだやっていない新しい表現をしたいというのなら、
自分すら知り得ない世界をいつまでも探し続けるということだからです。
もし、安定した制作活動をしている作家がいるとするなら、
その作家は過去の作家ということになてしまうのかもしれません。
ぼくは、新しい表現というのは
この世界に完全に存在していなかったものとは考えていません。
誰もが知っていたのにもかかわらず、
いまだに皿の上にのったことのなかった料理のようなものなのだと思います。
ありふれた食材の味付けの仕方、
駄菓子にもならないと思われていたような食材の調理の仕方、
盛りつけ方を考え抜いたただけでも、
新しい味覚、新しい価値や文化を作り出すことができると思うからです。
そうした結果として、
その表現を見つけ出した人の中から、
その人が生まれてこなかったなら、この世界にその価値が生まれ落ちなかったものを、
芸術作品と呼び、芸術家と呼ぶのだろうと思います。
政治や経済は社会を『進歩』させ豊かにすることが役割ですが、
社会に文化的『進化』を与えるもの、それが芸術であり、
芸術にしかできないことです。
『進歩』と『進化』は似ている言葉のようですが、かなり違った意味があります。
ためしに『進化』を辞書で調べてみると、
 生物は不変のものではなく、
 長大な年月の間に次第に変化して現生の複雑で多様な生物が生じた、
 という考えに基づく歴史的変化の過程。
 種類の多様化と、環境への適応による形態・機能・行動などの変化がみられる。
 この変化は、必ずしも進歩とは限らない。

「必ずしも進歩とは限らない」とあります。
私たちは今、『進歩』を前提とした社会に暮らしています。
グラフにすると常に右肩上がりでなければならない社会です。
昨日より今日、一台でも多くの車が走っていなければならないし、
一着でも多くのジーンズが製造されていなければならず、
売上高やら、GDPやらがマイナスになることはあってはいけないことになっています。
マイナス成長なんて言葉によく表されています、成長ありきであると。

「長大な年月の間に次第に変化して現生の複雑で多様な生物が生じた」世界を、
百年足らずで、消費のために消費し、
「歴史的変化の過程」で生み出された多様な文化や習俗、言語までも、
グローバリゼーションという現象のなかで、消費のために消失していきます。
(例えばどの国でもGAPのジーンズを買うことができ、着ることが変だとは感じません)
生物が生き残る可能性を増やし続ける為に、多様な『進化』を選んできたのにも関わらず、
生活の豊かさの為に『進歩』させた社会が、世界を単一なものに変えようとしています。

突然ですが、ペンギンておかしな生き物だと思いませんか?
ペンギンが属する鳥類は、普通は空を飛んでいます。
人から見れば空を飛ぶことは、時にうらやましくさえ思えることですが、
ペンギンはダチョウのように空を飛ぶことを止めたばかりか、
海の中を飛ぶように泳いでいます。
『進歩』的な視点から見れば、なにか間違っちゃったやつという感じがしますし、
より上手に飛ぶ方向に頑張って進め!と促したくなります。
地上でのあの不器用な歩き方や、海中ではえら呼吸はできないから息継ぎが必要とか、
「(進化とは)必ずしも進歩とは限らない」という言葉が非常にしっくりくる生き物です。
しかし『進化』的視点から見てみれば、
地球上が空を飛ぶことができない状況になった場合、
例えば数年間豪雨が止まないような異常気象が続いた場合に、
鳥類で生き残るのはペンギンのみということもあるかもしれませんし、
地上では生活できないほどに降り続ければ、ペ
ンギンやイルカ、クジラといった
「ヘンテコ」なやつばかりが、魚類やプランクトン以外の生物の可能性を残すかもしれません。

芸術というのは『進歩』を前提とする社会において、
余裕がなくなるとまっ先に「仕分け」されてしまう分野です。
しかし、社会に『進化』を与え
結果的に「他の道」を用意するのが僕が思う芸術の役割です。

右肩上がりの『進歩』が続かなくなった時、
おそらくは近い将来にそうなった時に「他の道」が残されているように、
芸術は『進化』の可能性を追い求めます。
僕はペンギンのようでありたいと思っています。
鳥類といったジャンルに捕われない、
工芸でもアートでもデザインでもないような、あるいはそのどれでもあるような、
「ヘンテコ」な作品を作り続けて行きます。
『進化』を求めて。
さて、写真は六本木ヒルズの53階からの東京、すごい眺めです。
会期中に森美術館に『六本木クロッシング2010展:芸術は可能か?』を見に行きました。
わざわざ問わなくてもとも思いますが、問うてみることも大事なのかな。
まぁ、53階も登ってきちゃうと、下の町にはその問いすら聞こえていないようには思います。
アナザワールド東京、クロージングワールド芸術。
・・・でもないか。


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ありがとうございました!

18日に、こてんこてん展inMITATE2010は、無事終了することができました。

今回の個展も沢山の方に足を運んでいただき、
作品を連れて帰っていただいたり、
うれしい感想を聞かせていただいたりと、心より感謝しています。
ありがとうございました! 
福助もぺこぺこぺこりんと、お礼を申しておりました。
17日に行ったトークショーの時にお集まり頂いた方々、ありがとうございました!
僕の想像以上に沢山聞きに来てくれたので、嬉しさのあまりうれし泣きでした。
あ、嘘をつきました、・・普通に泣いただけでした。
31歳、男、・・・お恥ずかしい限りです、いや、あれは雨が目に入っただけであり・・・。
なんというか、できるだけ忘れてくださいなのですが、
聞き手の山田節子さんが、
僕の作品を評する時に教えてくれた言葉が、忘れることができません。

 むずかしいことをやさしく、やさしいことをふかく、
 ふかいことをおもしろく、おもしろいことをまじめに、
 (まじめなことをゆかいに、ゆかいなことをいっそうゆかいに)

これは井上ひさしさんの残してくれた言葉だそうです。
この言葉を聞いた瞬間、身震いがするくらい僕は驚きました。
座右の銘とはこういうことかと、
一瞬にしてその言葉が持つ、僕にとっての重要さを理解しました。
ぼくが作品づくりで大事にしていることが詰まっている言葉だと感じたからです。

おもしろいことをまじめに、ゆかいで、ヘンテコな作品をつくってきたつもりです。
海のものとも山のものともつかないヘンテコにどんな価値があるかも分からずに、
ただ好きなことをやみくもに作り続けて来ました。

そして僕に自分でも分からない作品の持つ価値を確認させてくれるのが、
見に来てくれる皆さんです。
見てくれる、感じてくれる人あっての、作品であると改めて思います。
こんなヘンテコを見に来てくださった皆さま、ほんとうにありがとうございました。
よりよいヘンテコが生み出せるよう、これからも努めて参ります。

あっと、この「ヘンテコ」というのは、すごくいい意味で使っています。
そのことは、長くなりそうなので次回のブログで。


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YOHJI YAMAMOTO 

個展で東京に行っていた4月1に、代々木体育館で行われた、
ヨウジヤマモトのファッションショーを見ました。
山田節子さんに「いい席の招待券があるから行ってみない?!」と誘われて、
ほとんどの人がそうかと思いますが、
ファッションショーなるものに行ったことがなかったので、興味津々行ってきました。
フッションにうといぼくですが、初体験ということもあり、えらく感動しました。

招待席はモデルさんが歩く通路のすぐそばで、服の素材感までよく分かります。
モデルといっても、ほとんどがいわゆる著名人で、
トルシエ監督、ムッシュ・かまやつさん、映画監督のSABUさん、椎名誠さんなどなど、
パッとみで個性が強い(すぎる)人物達が歩いて行きます。
服に着られるでもなく、服より前に出過ぎるでもなく、
服と人物が調和しつつ、緊張感をもって、舞台は観客を魅了します。

とても華々しい表現の世界に触れて、
美術や工芸などのマニアックな世界にはない、
沢山の人たちにうったえかける魅力について考えさせられました。
世界にはまだまだ学ぶことが沢山ありますね。
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