たまに考えてみる 一覧

Pananaさんへ


(今日のオニフスさん、少し大きくなりヒビみたいなのがでてきました。)
さて本題です、今日は昨日『子供とおもちゃと障害と』
Pananaさんがくれた質問の答えをここで書きたいと思います。
(考えさせられるいい質問だったのと、長くなりそうなので)
質問は僕が紹介したマッチングおもちゃの「キーナーメモリー」に対するものです。

(「キーナーメモリー」キーナー社 輸入元/アトリエ ニキティキ、写真はHPより)
 
>類似品にセレクタ社のものとか、色々ありますけど、やっぱり、
 キーナ社のものが図案的にもいいんでしょうか?
 好みでしょうか?
原型がキーナ社のものかは分かりませんが、確かに類似品の多い商品です。
より安価な類似品が並ぶ市場の中で、
キーナー社のシンボルとして20年以上同じ絵柄で作り続けられている事実からも、
わかりやすい絵柄や色使い、絵の種類などが
子供にも大人にも支持されて来たことが分かります。
好みか?と言われるとそうなのですが、
言語を習得し概念を形成する(例えば、ネコと言う言葉を見たり聞いたりした時にある特定の
「ねこ」(実物やイメージ)を思いうかべることが出来ること)大切な時期に見る
抽象化されたイラストなどは、できるだけ美しいものであって欲しいと思います。
どうしてもスイスぽっさ?はあるので、僕としては絵本作家の五味太郎さんが、
もう少し日本の暮らしに即したものを描いてくれたらいいのになぁと思ってます。
>おもちゃ図書館では購入していないのですが、おもちゃを選ぶ時、毎回、こういうの  
 どうかな~とは思っています。
 ただ、保健センターに類似品があるのですが、それを使って遊んでいる子を見たこが 
 ないのが、躊躇している理由です。
 
 子供はそれでずっと遊んでいるのでしょうか?
 やはり、療育的に横に座ってこえかけしながらでないと遊ばないのでしょうか?
 
 それしかないと、きっと遊べると思いますが、たくさんあるおもちゃの中では 
 どうかな、と思います。
この質問はテイクジートイズにとっても本質的で、難しい指摘です。
おもちゃ図書館がどんな場所であるか正確にわかりませんが、沢山のおもちゃがあれば、
大人の僕でもとりあえずあれもこれも遊ぼうと思って、好奇心はあっても
分からないもおもちゃの遊び方を考えている暇はないんじゃないかなと思います。
今のように安易なエンターテイメントが日常化している中では、キーナーメモリーや
テイクジー・ブロック、ズーなどの相対的に些細な遊びは選ばれない可能性は高いと思います。
(もちろん些細な豊かさだと信じてはいますが)
あくまで相対的なものだと思いますので、
もしおもちゃ図書館や保健センターにテレビが置かれ人気アニメが流れ出したら、
ほとんどのおもちゃが活躍することはないと思います。
分かりやすくてより刺激のある物に目が行くのは、大人も子供もいっしょですから。
余談ですが僕はテレビのない家で育ちました。
その上買ってもらったおもちゃは、謎のH型をしたブロック玩具だけでしたから、
あり余る時間を(今思えば)兄と一緒にそのブロックで何年もよく遊びました。
憶えているのは兄のつくるロボットが上手で、どうにか真似しようとしていたことです。
どうやってもつくることが出来なかったのですが、
それもそのはず兄は自分でブロックのパーツを改造して使っていたんです。
その手があったかと僕も削ったり、くっ付けたりと新パーツをつくりました。
(やっぱりその延長が今ですかねぇ?・・・今じゃ全てのパーツをつくってます、
28ですがロボつくってます・・・。)
兄はこのブロックの許容できる遊びの範囲を超えてしまったわけです。
開発者の想定する遊び方では面白くなくなってしまったんですね。
大げさに言えば大人の想像の範囲を子供が越えてしまったと言えます。
もしこのブロックがもっと沢山のパーツで構成された完成された物であれば
用意されたパーツの中で満足できていたかも知れません。
もしくはレゴブロックの複雑なセットなどを新しく買ってもらっていたら
興味は移っていたと思います。
1つのブロックを遊び尽くして、それでも新しい可能性を追わなければならない
過酷な?状況だからできた面白い体験です。
革新的なアイデアというのは枠(常識)をはみ出したり、壊したところにある、
そんな体験ができたブロックなので、ある意味完成されていたのかもしれませんが。
その後ぼくは親友の家でレゴブロックに出会いとりこになりました。
結局、家では買ってもらえませんでしたけど、今でもレゴより
面白くて、美しくて、完成されたおもちゃはないんじゃないかと思います。
(しかし最近のレゴのスターヲーズセットやハリープッターセットはどうかと思います、
棒状のパーツと人パーツがあればライトセーバーにも空飛ぶほうきにもなるのが、
レゴの本質だと思うのですが)
話が逸れたうえに長くなりましたが、
睡魔さんが訪問されていますので強引に結論です。
Pananaさんの質問にある「それしかないと、きっと遊べると思いますが」
が僕の答えです。
どんなにつまらない(んじゃないかなぁ)おもちゃでも、
遊び方が分かりずらいおもちゃでも、
それしかなければ絶対遊びますし(年齢や能力に応じたこえかけなどは必要)、
時間が経てば新しい遊び方まで教えてくれるようになると思います。
飽きたら次がある僕たちが慣れすぎた感覚です。
沢山のおもちゃの中で意図された遊びだけをするのと、
1つのおもちゃにとことん向き合い、遊び方やルール自体を作ってしまうのと、
どちらが豊かなことでしょうか。
これもモノを大切に使うということですかね、テイクジー・トイズのちょうせんです。

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コダマ?ガイコツ?なんなのぉ?


今朝、工房のカギを開けながらふと庭を見ると、
なんか白いボールみたいなのがあるぞ?なんだろ。
近よると、がっガイコツ!?なぜこんな所に!!
いやよく見るとなんかやわらかそう。
なので、枝でつついてみると。
ぺん、ぺん。
不思議な感触・・・。
とりあえず周りを掘ってみた。
けっこう深い、どんどん掘り進めると、
なんだかコダマのように見えてきた。
どうやら土からはえてきているようだ。
う~ん、いったいなんなのぉ?????
雷人からの変な嫌がらせだろうか?
質問に答えないのが気にくわないのか?せっかちなヤツだ。
いやもしかしたら、新生命体かもしれない。
なにか生まれてくるんじゃないか、大発見かもしれんぞ。
ついにキタのか、こんなにもたやすくノーベル!・・・まさかほんとにノーベル賞なのか。
「いやー光栄です、ありがとうございます。
日々の観察のなかにヒントが隠されているものですよ、ハッハッハ。
いや外国の研究機関には行きませんよ、教授職?あまり興味ないですね、
研究は金や名誉のためじゃないですから、ハッハッハ。」
しばしトリップのあと、とりあえずネットで調べてみました。
えっキノコ・・・?
『オニフスベ』と言うのですか。
はぁ、しかも食用ではあるが、かなりまずいと。
あ、そうですか。
でもまぁ脳内小旅行できたし、秋を感じました。

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子供とおもちゃと障害と

突然ですが、母親が養護学校で教師をしているので、
ぼくにとって知的障害児や情緒障害児は小さい頃から触れ合う機会の多い身近な存在でした。
学生の頃から障害児の教育に興味を持ち始め、
子供用のおもちゃ「=遊び」を考えるのと同じように、
子供がどうやって「学ぶ」のかについても考える様になりました。
「子供」と「ぼくのおもちゃ」と「障害者(児)」がぼくの頭の中でどのように繋がって
テイクジー・ズーが生まれたのか、文章にまとめてみましたので、
興味のある方はどうぞ・・・長いですけれども。
『子供とおもちゃと障害と』
生まれたばかりの子供は自分(内)と外すらあいまいな「ひとつ」の世界に住んでいます。
まだ自然の一部である赤ちゃんはある意味ではとても幸せな存在です。
ただ、この世界に人間として生まれ社会の中で生活をする以上、
我々と同じ言語を習得し概念を形成する必要があります。
自分(内)と外、母や父などを認識しはじめると「ひとつ」だった世界は
2つ、3つと広がって行きます。
徐々に複雑な世界を認識し、DNAやニュートリノなど目に見えない世界や
増え続ける新しい言葉まで知ることになります。
言語を習得し概念を形成するというのは、
例えば、ネコと言う言葉を見たり聞いたりした時に
ある特定の「ねこ」(実物やイメージ)を思いうかべることが出来ることです。
では、私たちはどのようにして言語を習得し概念を形成してきたのでしょうか?
つまり赤ちゃんはどのようにして視覚からの情報と聴覚からの情報を結びつけて
脳に言語を発生させるのでしょう。
知的障害児の教育を行う養護学校の授業で
多く取り入れられているものに「マッチング」があります。
ゆっくりと成長する知的障害児が言葉や数などの概念を理解するのに用いられるのが、
絵、数字、色などのカードを分類したり
「かたはめ」(穴に同じ形の物をはめる)によるマッチングです。
最も基本的なものとして数個ずつの丸、三角、四角を同じ形にわけるものがあります。
なぜ丸を丸と認識できるようになるのか、丸と三角は違うと分かるのか・・・。
(分かっている人からすると、分からないことを理解する方が困難ですが)
違いが分かるためには、まず同じ形とはなにかを知る必要があります。
マッチングをして2つ以上の丸が同じ形であることを理解できるようになると、
視覚からの情報である「◯」と聴覚からの情報である「まる」を結びつけて
脳に「丸」という言語が発生します。
丸の概念が形成されると三角との違いが分かるようになり、四角も分かるようになります。
何が同じであるかを知ることが何が違うかを知ることの第一歩なのです。
基本的な形の違いが分かるようになると、家や車などだんだんと複雑になる世界を
分類し系統立てることができるようになります。
脳の中にインデックスがつくられ、言語が整理されはじめると学ぶ準備ができたことになります。
現在までに創りだされてきた言語を分類したインデックスの体系が学問ですから、
何が同じで何が違うかを知る(分類し系統立てる)「マッチング」は全ての学問の基本であり、
学問そのものだと言えます。
玩具の中にも「かたはめ」やメモリーカードなどのマッチングをして遊ぶものが多数あります。
テイクジー・ズーは視覚障害児にも同じように遊べるおもちゃとして考えました。
形を指でなぞることで知覚することができ、同じ形を探し
磁石でくっ付けることでその行為を補足します。
2枚の同じ動物をくっ付けると立てることができるので、
動物の全体と部分の理解と上下(空間)の把握を促します。
視覚障害児にとって手先による触覚的な観察が情報収集の重要な手段となりますので、
点字などの学習を行うためにも手指の操作能力や
働きを向上させ触覚を鋭敏にすることが大切です。
能動的に獲得できる触覚的知覚をハプティク知覚といいますが、
上記のような能力を向上させることは視覚障害者だけでなく
視覚情報に頼りがちな晴眼者(健常者)にとっても大切なことだといえます。
楽しく遊ぶ中でテイクジー・ズーが子供の成長の手助けになればと思います。
参考文献 『視覚障害教育に携わる方のために』 香川邦生編著 慶応義塾大学出版会
     『視覚障害児のための言語の理解と表現の指導』 文部省 同上

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