ちょっと見て来た 一覧

滋賀へ。

先日、友人で陶芸家の本間友幸さんにさそわれて、滋賀県へ行ってきました。
今回の目的の一つが、『琵琶湖ビエンナーレ』というアートイベントです。
このイベントは近江八幡市の市街地に点在する作品群を見て回るというもの。
これだけでも一日で回るのはちょっと厳しいところを、
日帰りという強気の姿勢の僕ら。
数日前に「本間さん、これは5時出発ですな!」と強気に申し上げた僕!
当日の朝、睡眠不足のその手が掴んだ枕元の時計は、まさかの「4:58」。
・・・やっちまったな、オレ。
34歳にして寝坊で遅刻、申し訳ない気持ちでいっぱいです。
いきなりのオレハプニングに屈することなく、強気のまま30分遅れのスタート。
滋賀県の人には申し訳ないのですが、
長野県で「しが」と言えば志賀高原のことでして、
琵琶湖もスゴいが、諏訪湖もスゴいぞと言わざるをえません。
とまぁ、そんな長野県民イズムを丸出しで、滋賀に到着。

近江八幡市の会場の側まで来ると、何とも奇麗な町並みで、
おお!滋賀もなかなかですね。
福助マークの着いた青い看板がアートイベント会場の印で、
これを探して町をぐるぐる回ります。
古い民家であったり、老舗商店の蔵であったりと、
青い福助さんを見つけて、おじゃますれば、アートが観れるというわけです。
この作品は青木美歌さんの作品。
今回、滋賀まできたのは、この作品を見るためといっても過言じゃないです。
これは全てガラスで出来ています。
信じられないほど美しい空間が広がっていました。
ガラスという物質を超えて、
手では触れることのできない光や空気を造形しているかのようです。
他にも沢山の素晴らしい作品が目白押しで、とても楽しめました。
作品を見ながら町を散策していると、不思議と町並みの美しさに目がいくような気がします。
美しいものを発見したい、感じたいという気持ちが強くなっているからでしょうか。
こんな素敵な門構えの民家におじゃまできるのも、このイベントの美点かもしれません。
さてさて、全ての作品を見て回りたかったけれども、
もう一つの目的地、長浜市へと向かわなければなりません。
なぜって、長浜市にある黒壁美術館で本間さんの展覧会が開かれているからです。
美術館周辺は古い町並みや商店が軒を連ねていて、
観光スポットとして、とても人気の場所だとか。
立派な本間兄貴の立派な展覧会の会場です。
寝坊で遅刻な僕とは、やはり一歩も二歩も先行く兄貴は貫禄が違います。
本間さんの作品を代表する『薔薇貫入』の作品。
器の表面に入る無数のひび(貫入)が、まるで薔薇の花のように見えることから、
その名が付けられました。
写真ではうまく写すことができませんので、ぜひ実物を見て下さい。
思っていた以上に滋賀はいいところで、強気の一日プランでもとても楽しめました。
これからは「しが行かない?」と聞かれたら、
「滋賀県、志賀高原、どっち?」というだろうなと思います。
あと琵琶湖は諏訪湖とは比べ物にならないくらいでかかったです。
ほぼ海です。
さて、中野にはぎりぎりその日の内に到着。
結局オレハプニング以外は滞りなく、強気の一日プランは大成功に終わりました。
終わりよければ全てよし!・・・、反省してます。
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小黒三郎組み木館 ズートピア信州。

僕の工房がある中野市に、
『小黒三郎組み木館 ズートピア信州』がオープンしました。
小黒三郎さんは、木のおもちゃに興味のある人なら知らない人はいない、
世界的に活躍されている日本の木のおもちゃを代表する方です。
僕も学生の時分に著作や展覧会などで、作品や考えにふれ、
ずいぶんと勉強させていただきました。
昨年、館長である池田さんが僕の工房を訪れて、
「すぐ側に小黒三郎さんの美術館を建てています」と話し始めた時には、
「あの小黒さんですか?あの組み木の!」と驚いてしまいました。
地球儀で見ると何とも小さな島国日本ですが、
美術館を建てるだけの敷地であれば、広すぎるのもこの日本。
なぜに中野市に!?
この出来事に日本で一番驚いたのは僕かもしれません。
皆さんにこの驚きを共有していただくために例えますと、
三浦知良選手に憧れてサッカーを始めた少年が、
中野市のサッカーチーム『中野エスペランサ』でプレーしていたら、
三浦知良選手が入団してきた!監督やコーチになった!みたいな感じでしょうか。
三浦選手をイチロー選手や北島選手など自分のヒーローに置き換えていただくと、
驚いちゃいませんか?なぜに中野市に!ビックリですね。
まぁ、小黒さん自身が引っ越してくるわけじゃないんで、
例えとしてはちょっと違うかもしれませんが、なんとなくのイメージです。
さて、オープンの日がようやくやって来たので、さっそく行ってきました。

古民家を改装して作られた組み木館に、小黒さんの作品が並んでいます。
涼しい風が吹き抜け、気持ちのよい空間です。
入口で、遠方からも訪れるファンの方を出迎える小黒さん。
囲炉裏に花がいけてあります。冬は火が入るのかな。
子供たちも訪れて、作品に見入っています。(写真のは僕の子供ですが)
外観は周りの風景にとけ込む静かなたたずまいです。
というか、奥の民家は訪れる誰よりも昔からこの風景をつくってきた建物ですから、
とけ込んでいて当然と言えば当然ですね。
手前の建物が工房になっていて、組み木の作品をつくる体験が出来ます。
この日は小黒さんの指導でワークショップがあり、僕も娘と一緒に参加しました。
糸のこでみるみる作品が出来ていくのは楽しいです。
最後に参加者の作品を並べて、小黒さんによる品評会もありました。
観れて、作れて、遊べちゃう、『ズートピア信州』。
とっても素敵な場所ができました!みなさんも是非訪ねてみて下さい。
■小黒三郎組み木館 ズートピア信州
〒383-0062 長野県中野市笠原310
tel:0269-22-6922
email:info@zootopia:jp
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境内アート小布施。

先週のことになりますが、

隣町の小布施町で『境内アート小布施×苗市』が開催されていたので、
ちょっと見て来ました。
玄照寺というお寺の境内で開催されるので、境内アートです。
140組もの作家やクリエーターが作品を並べています。
知っている作家さんも居たり、居ると思っていた作家さんが作品だけ置いて居なかったり。
作品を見るのも楽しいですが、
地元ということもあり知り合いに会うのも楽しいお祭りのようです。
骨董品も並んでいたりと、老若男女幅広い人が楽しめる内容でした。
花粉症の僕としては、花粉の季節じゃなかったらもっと楽しめるんですけどね。
さて、今日4月26日はチェルノブイリ原発事故から25年の日だとのこと。
もし日本の原発事故がなければ、正直もう25年かぁ程度に横目にしただろう新聞記事が、
まだ25年しか経っていないのかと感じたことで、
自分の時間のスケールが変化していることに気づきました。
一夜にして降り積もったものの重さと、25年経ても尚それを軽減することの困難さ。
私たちもこれから1年、1年、1年・・・と数え、
今年生まれた子でさえも「解決」までは数えることができないのかもしれません。
図書館に絵本を借りに行った妻が、
児童書の棚で目に留まったとかで借りて来て読んでいた本に、
興味深い一節があると教えてくれ、読みました。
本のタイトルは『ナターシャ』~チェルノブイリの歌姫~。
 事故のあと、政府委員として現地にかけつけ
 事故処理の指導にあたった、ヴァレリ・レガソフ博士。
 ソ連の原子力計画の創始者のひとりであり
 IAEAへ報告書を提出したときの団長だった博士が
 事故からちょうど2年後の、1988年4月27日に
 首を吊って自殺した。
 (中略)
 かれが友人に語った、むねを打つことばがある。
 「わが国がほこりにしていた科学技術は
 ガガーリンの宇宙飛行とともに、終わったのだ。
 わが国の科学技術は、トルストイや、ドストエフスキー
 そしてチェーホフたちの
 偉大な文学の精神にやしなわれた人びとによって
 つくりだされたものだった。
 ガガーリンの宇宙飛行までは
 高い道徳の感覚が、いたるところで見られた。
 他人にたいする態度のなかに、人間にたいする態度のなかに
 自分の義務に対する態度のなかに
 そして、科学技術に対する態度のなかに
 美しい文学の精神が見られた。
 科学技術は、わたしたちのうちなる道徳を表現するための
 ひとつの手段にすぎなかった。
 それから長いあいだ、わたしたちは
 道徳のはたす役割を、わたしたちの文化を
 歴史を、無視してきたのではないか」
 
僕はこの前後しか読んでいないので、本についての感想は書けないのだけれど、
この一節だけでも知れてよかったなと思いました。
もっともっと美しいものを見て、聞いて、読んで、感じて、
感性を磨いていこうと思いました。
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