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工芸の力―21世紀の展望


先日、東京国立近代美術館 工芸館に『工芸の力―21世紀の展望』を見に行きました。
この展覧会は工芸館の開館30周年を記念して『工芸館30年のあゆみ』と題した、
記念展?に続き記念展?として開催されました。
簡単にいえば、近代の工芸を振り返り、これからの工芸の未来について考えようというもの。
工芸をする者の端くれとして、絶対押さえておきたい展覧会です。
もちろん?、?両方に行ってきました。
?においては、浜田庄司、高村豊周、松田権六、佐々木象堂、四谷シモンなどなど。
書き出したらきりがない巨匠達の作品がズラリ並び、
工芸館の成り立ちとともに、日本の近代工芸の足跡を一気に見渡すことができました。
ほとんどの作家が1作品だけなので、少し薄味なのは否めませんが、
図録だけでしか見たことのなかった作家の作品を多数見ることができ、貴重な体験でした。
?では、橋本真之、福本潮子、前田昭博、高見澤英子、須田悦弘、北川宏人などなど、
既に巨匠から、これからの工芸界を背負って立つであろう若手まで、
作家1人1人にある程度のスペースがさかれ、個性の強い濃密な表現がひしめき合う、
見ごたえタップリの展示内容でした。
中でも橋本真之さんの鍛金による巨大な作品は圧巻。
そして、どうしても気になってしまうのは須田悦弘さん、北川宏人さんの作品。
これを工芸と分類する根拠は何か、いやそもそも工芸とは何か・・・。
作品の質の高さ言うまでもないですが、作品から滲み出るものは「表現」のなんたるか。
学校でいわゆる工芸を勉強したぼくが分からないのだから、
一般のお客さんには工芸の企画展ということに置いて、幾分難解なラインナップだと思います。
分からないのは見る側だけではないようで、
作品の紹介とともに展示されていた作家からのコメントを見ると、
普段は現代美術として作品を発表している須田悦弘さんはこう言っています。
「今回、工芸館から声をかけられた時、少しだけ戸惑いがありました。
 でも少しだけです。なぜなら自分にとっては工芸とか美術とかの区分は
 よく解らないからです。もう少し言えばその区分はどうでもいい、
 下らないものに思えるからです。しかし今現在、美術と工芸にははっきりとした区別、
 というよりはモヤモヤとした溝の様なモノがある気がします。
 その何ともスッキリしない空気が、この展覧会で多少どうにかなればいいなぁと思います。」
なんとも正直な文章で、まったくその通りだと思います。
こんな風にモヤモヤした空気に対して、
ハッキリと言ってしまう空気の読めなさ(読まなさ)かげんが、
須田悦弘さんを「現代美術」と言う場で美術家たらしめるのだと思います。
とは言え、美術と工芸、または美術家と工芸家とを分つものは確かにあり、
そして確かさはない。
この話題もう少し掘り下げたいので、次回に持ち越しです。

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『江固二のエコジャポン』第四回

「すみません、決まりですから・・・。」
食べられないとなるとよけいに食べたくなるもので、
江固二はくやしい気持ちになった。
「お気持ちは分かるんですが、
レジのシステムで時間の過ぎたものは会計できないようになっているんです。」
グ~ッ、また江固二の腹がなった。
恥ずかしさでは、かなり絶妙なタイミング。
かわいそうに思ったか、奥にいた別の店員が声をかける。
「たしか明太子ならまだあったと・・・」
「そんなんじゃないんだよ、タラコじゃなきゃ!あぁ~~!」
江固二はまっ赤な顔をしてコンビニを飛び出した。
うっすら泣いているようだった。
東京は冷たい、
そんな風に感じている今の江固二とは対照的に、
冬の柔らかい日差しがポカポカと暖かく、
よく手入れされた公園の木の枝には、鳥が気持ちよさそうにとまっている。
江固二はベンチに座り、持っていたガムを噛んでいた。
あと10分早くコンビニに入り、タラコをゲットしなかった自分を恨んだ。
「あぁ、腹が減った・・・。」
目の前をヘッドバンキングしながら横切るハトを見てつぶやいた。
焼き鳥ならネギ間だよなぁ、などと考えてしまうほどに空腹だ。
ハトを目で追うと、進む先には餌をまくおじさんの姿。
もう餌でもいいから欲しいなぁと、ポカッと口をあけていると、
「おい、兄ちゃんこっちこいよ!」
おじさんが手招きしている。
「どうした青い顔して、これでも食うか。」
おもむろにビニール袋から、おにぎりを出す。
「えっ。あ、ありがとうございます。」
ほんとうに餌をくれるとは思わず、ビックリして見てみると、
なんとタラコのおにぎりである。
江固二の顔に笑顔が戻り、ほほに涙がつたった。
「なんだよ、泣くこたねえだろ。そんなに腹へってんのか?なんなら弁当もやるよ。」
「そんなぁ、わるいですよ、こんなにいただいちゃ。」
と、言いながらも腹のすいた江固二は、鞄からマイ箸を取り出し食べだした。
「気にすんな、今日はミスったとか言って、コンビニの兄ちゃん沢山くれたから。」
江固二はギョッとして消費期限を見た。
弁当は昨日の日付け、おにぎりはどうやらさっきのものらしい。
「なぁに大丈夫だって。この季節なら一週間くらい平気な時だってあるし、
防腐剤の効果が薄れてきてかえって旨いくらいだって。」
「そうなんですかぁ!」
そう言われてみると、すごく美味しい気がしてきた。
タラコのおにぎりもほおばる、めちゃウマである。
そう言えば以前、LEMLの会報でも賞味・消費期限の曖昧さと、
残飯問題について特集されていたことを思い出した。
どういった内容だったかよく思い出せないのだが、
こんなところで実践してい人に出会えるなんて、東京のエコは進んでいると思った。
つづく。

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『江固二のエコジャポン』第三回

「まもなく原宿~、原宿~。」
江固二は八ッとして、若者にお礼を言うと原宿駅で電車を降りた。
今日東京に来たのは他でもない、
江固二が三年前から会員になっている『LEML』こと、
NPO法人『ラブアース・オブ・マイラブ』の東京集会に参加するためなのだ。
長野支部のエコトレッキングや落ちりんご狩り、
諏訪湖エコライブなどの活動には毎回参加してきた江固二だが、
東京で開かれる全国集会は今日が初めてだ。
代々木公園に着くと、既に沢山の人が集まっていた。
江固二は受付を済ませ、予め知らされていた場所に向かう。
午前中は公園を中心に街のごみを拾う
ライフクリーン活動を参加者全員で行うことになっていて、
江固ニは公園の北側を担当するグループだった。
「皆さん!はりきってがんばりましょーーっ。」
リーダーのかけ声で江固二のグループは清掃を始める。
公園の中は思っていたほどゴミはなく、30分もすると江固二の担当場所はキレイになった。
14年ぶりの東京で緊張していのが、ひたいに汗がにじんだらリラックスしてきた。
グ~ッ、気が緩んだせいか江固二の腹がなった。
そういえば慌ただしく家を出てきたので、朝から何も食べていなかったことに気がついた。
江固二はまずいかなぁと思いつつ、近くに見えるコンビニにダッシュ。
ぼくの場所はキレイになったし、
サボリじゃないよと言い訳しながら、おにぎりを選ぶ。
ラッキー!江固二の定番タラコがひとつだけ残っていた。
大好きなタラコとツナを手にレジへ。
店員さんはバーコードをピッとやると、焦った様子で食品表示を確認した。
「す、すみませんお客さま。
こちらタラコの方、消費期限を10分過ぎてしまっていて・・・。
申し訳ありません、商品の入れ替えミスだと思うのですが。」
「そんなぁ、タラコじゃなきゃだめなのに。10分くらい、いいですよ~。」
つづく。

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