2012年 一覧

武蔵野美術大学、木工工房にて。

先日、恩師である十時啓悦教授に頼まれて、

武蔵野美術大学の木工工房に特別講義をしに行ってきました。
11年ぶりの母校は見たことのない校舎がいくつか建っていましたが、
木工工房は変わらず、懐かしく思われました。
講義は10時頃からということで、信州中野駅5時37分発長野行き、
長野からは新幹線あさまです。
さすがは新幹線、早いのなんのですね。
学生の時に利用していた新小平駅から徒歩30分以上かかったにもかかわらず、
9時半には工房についていました。
家から武蔵美まで4時間くらいでつくとは、意外に近いなと驚きました。
特別講義は3年生の『立体造形』という課題の導入にとのこと。
この課題は3年生までに作ってきた「家具」などの用途のある物から離れて、
自由に立体作品を作ります。
僕が今に繋がる寄せ木の作品を初めて作ったのがこの課題でした。
特別講義にあたり先生からは、僕がこの課題をどう考えて制作に挑んだか、
また、3年生の終わりともなると進路が気になるところなので、
作家活動の道程などを話して欲しいと頼まれました。
前日に講義に使用する写真の用意などしていたら、
やべ12時回った、おっと1時には寝るぞ、
あれ2時って、寝たら逆に起きれないかもと、徹夜に。
まぁいいでしょう、これで講義をする教室には、
徹夜と長距離移動でまぶたが2トンな僕以上に眠い者はいないはず。
僕が寝ないで話しているのに寝たら承知しないぞとばかりに話したせいでしょうか、
生徒のみなさんは最後までよく話しを聞いてくれました。
無事講義が終了し、お昼を挟んで3年生に質問などを受け付けるはずが、
教室に入ると何故か人数が増え、さっきの顔ぶれがいません。
聞くと3年生は必修の授業があり、4年生と2年生が集まっているとのこと?
ってことはもしかして改めて最初から話すということかな?
どうやらそのようです。
学食でお腹も満たされた僕、さぁ俄然眠気も増してきましたよ!
徹夜+長距離移動+学食=睡眠5秒前な僕が話しているのだから、
寝たら承知しないどころじゃないからな!とばかりに話したせいでしょうか、
今回も生徒のみなさんは最後までよく話しを聞いてくれました。
講義終了後、持って行った寄せ木作品を熱心に見てくれたので、
もう少し大きい作品も持って行ってあげればよかったかもと思いました。
さて、ようやく肩の荷が下りたぞと、懐かしい工房をぐるっと一回り。
工房は一階に機械室があり、大きな機械が集中して置いてあります。
一階で製材した材料を二階で加工します。
僕の工房も機械室と加工室の2つに分かれているんですが、
これは武蔵美の木工工房を真似たものです。
先生と話したり、生徒たちと話していると、
やはりこの工房での学びが僕の基本なんだなと考え深くありました。

変わった作品を作っている4年生がいたので話しを聞いてみると、
卒業制作に向けて「からくり人形」をいっぱい作っているとのこと。
基本的には家具をつくる工房なので、
変わったやつだなぁと思いましたが、11年前の自分こそ変わったやつだったわけで、
次に彼に会うときは作家同士であることを切に願います。
僕が大学3年の時に木工家の谷進一郎さんの特別講義がありました。
「オレの椅子をつくる」という谷さんの著作を読んだことのあった僕は、
とても興味深くお話を伺いました。
それから8年が過ぎ同じ長野県で作家活動をしていたことも縁あって、再会。
僕の個展まで足を運んでいただいたりと交流が生まれ、
今度一緒に展覧会をしないかと誘われています。
特別講義の依頼を下さった十時先生と展覧会をさせてもらった時もそうですが、
自分に道を教えてくれた方と、展覧会という踊り場で、
再び同じ時間を共有できることはとても嬉しいことです。
今回、僕の特別講義を聴いてくれた生徒たちの中から、
一人でも多くの作家が生まれ、一緒に展覧会ができる日を僕の夢にしておきます。

コメントをどうぞ

美術館、おしまい。

23日に終了しました『ナガノ 新 コンセプトゥス』展の搬出に行ってきました。
今年の夏はこの展覧会とともに過ぎって行ったようで、
いよいよ秋なんだなぁ~と、少しなごりおしいような気持ちです。
ワークショップをやったり、いろいろなジャンルの作家さんと宴会をしたりと、
展覧会に誘ってもらったおかげで、面白い経験ができました。
見に来て下さった方、ワークショップに参加して下さった方、ありがとうございました。
また、このような展覧会を企画して下さった学芸員の鈴木さんに感謝します。

今回の僕の展示は、展示台が縦長だったのでロボット型の作品が中心となりました。
これはこれでまとまって見えて、よかったかなと思います。
秋は制作にもいい季節、今はおっきい新作の製図を描いています。
あ~早く作り出したい。
コメントをどうぞ

小黒三郎組み木館 ズートピア信州。

僕の工房がある中野市に、
『小黒三郎組み木館 ズートピア信州』がオープンしました。
小黒三郎さんは、木のおもちゃに興味のある人なら知らない人はいない、
世界的に活躍されている日本の木のおもちゃを代表する方です。
僕も学生の時分に著作や展覧会などで、作品や考えにふれ、
ずいぶんと勉強させていただきました。
昨年、館長である池田さんが僕の工房を訪れて、
「すぐ側に小黒三郎さんの美術館を建てています」と話し始めた時には、
「あの小黒さんですか?あの組み木の!」と驚いてしまいました。
地球儀で見ると何とも小さな島国日本ですが、
美術館を建てるだけの敷地であれば、広すぎるのもこの日本。
なぜに中野市に!?
この出来事に日本で一番驚いたのは僕かもしれません。
皆さんにこの驚きを共有していただくために例えますと、
三浦知良選手に憧れてサッカーを始めた少年が、
中野市のサッカーチーム『中野エスペランサ』でプレーしていたら、
三浦知良選手が入団してきた!監督やコーチになった!みたいな感じでしょうか。
三浦選手をイチロー選手や北島選手など自分のヒーローに置き換えていただくと、
驚いちゃいませんか?なぜに中野市に!ビックリですね。
まぁ、小黒さん自身が引っ越してくるわけじゃないんで、
例えとしてはちょっと違うかもしれませんが、なんとなくのイメージです。
さて、オープンの日がようやくやって来たので、さっそく行ってきました。

古民家を改装して作られた組み木館に、小黒さんの作品が並んでいます。
涼しい風が吹き抜け、気持ちのよい空間です。
入口で、遠方からも訪れるファンの方を出迎える小黒さん。
囲炉裏に花がいけてあります。冬は火が入るのかな。
子供たちも訪れて、作品に見入っています。(写真のは僕の子供ですが)
外観は周りの風景にとけ込む静かなたたずまいです。
というか、奥の民家は訪れる誰よりも昔からこの風景をつくってきた建物ですから、
とけ込んでいて当然と言えば当然ですね。
手前の建物が工房になっていて、組み木の作品をつくる体験が出来ます。
この日は小黒さんの指導でワークショップがあり、僕も娘と一緒に参加しました。
糸のこでみるみる作品が出来ていくのは楽しいです。
最後に参加者の作品を並べて、小黒さんによる品評会もありました。
観れて、作れて、遊べちゃう、『ズートピア信州』。
とっても素敵な場所ができました!みなさんも是非訪ねてみて下さい。
■小黒三郎組み木館 ズートピア信州
〒383-0062 長野県中野市笠原310
tel:0269-22-6922
email:info@zootopia:jp
コメントをどうぞ
2 / 6 pages123456