その他 一覧

先生と呼ばれること。

作家を始めて3年目、もう干支も一周するくらい前のこと、
横浜で個展をしたギャラリーのオーナーが言っていたことだ。
僕が作家というだけでギャラリーのオーナーやお客さんに
「先生」と呼ばれることに違和感があると話すと、
「先に生まれると書いて、先生だからね。中川さんは僕よりもずっと若いけど、
僕は木工の経験は0年だから、木の世界には中川さんが先に生まれていることになるよね。」
と返されて、納得してしまった。

うちの三姉妹を見ていても、
長女は次女の先生であり、次女は三女の先生であることがよくわかる。
どこの家でも2番目3番目の子供の方が、話すのが早くなり、着替えや歯磨きも簡単に覚える。

学ぶことの質にもよるけど、時として子供の「先生」は親より子供の方が向いていたりする。
言って聞かせるよりも、見て真似をする方が早い上に、自発的になれる。
「学び」の語源が「真似る」というのは、どうやら間違いなさそうだ。

先日、母校の武蔵野美術大学で講義をしてきた。
今年は何回か講義があるからか、十時教授が生徒たちに「中川先生です」と紹介してくださり、
ドキッとした。
作家を「先生」と呼ぶのだから、
少し前を歩く木工家として「先生」であることは違いないのだけれど、
工房には恩師である十時先生、田代先生、藤井先生(僕の学生の時の助手さん)がいて、
「中川先生です」と呼ばれるまで、なんとなく生徒側にいたというか、
間違った木工機械の使い方をしていたらケツをひっぱたかれるんじゃないかとか、
考えの浅いアイデアを見せたら厳しく言われるんじゃないかとか、
学生の時の緊張感が工房の中なのか僕の中なのか、今でも残っているらしく、
まさか自分が先生側に立っていると思えていなかった。

DSC_3958

長女のももは次女のうめにとって憧れの存在らしい。
うめはももが絵を描いていると、
ピッタリ横にくっついて、ジーッと色鉛筆の先を目で追っている。
ももが本を読んでいると、横に座って声に出して読んでくれと頼む。
ももが宿題のドリルをやっていると、私も!というので迷路のドリルを買ってやると、
ももが勉強中は迷路をずーとやっている。
気がつけば、うめの絵も僕らが驚くぐらい上手だし、
字は読めないのに覚えた絵本を読んでいたりする。

それだけうめが真似をしたくなる「先生」のももはすごいんだなぁと驚いていると、
三女のさくらはうめのすることがしたくてしたくて、うめの横で真似をしている。
うめもいつのまにか憧れの「先生」になっているじゃないか。

僕も武蔵美の木工工房でうめくらいには成れるように頑張らなくちゃいけない。
僕が先生から学んだように、生徒たちが木工の世界に先に生まれた僕から、
真似をすることが少しでもあれば嬉しい。

DSC_3960

木工工房は来春には、新工房に移転するそうで、
僕が木工と出会ったこの工房とは今年限りでお別れ。
ちょっと寂しいね。

DSC_3956

DSC_3968

田代先生、藤井先生と一緒に4年生のアイデアチェック。
結構面白いアイデアが幾つもあったので感心してしまった。
あとは時間の限り手を動かして、試行錯誤して、密度ある作品にできるといいなと思う。
僕が学生の時、スケッチを見せた先生たちに「もっと展開させたほうがいい」とも、
「このアイデアでどんどん進めなさい」ともいわれ混乱したのを思い出した。
一つのアイデアでも先生によっては全く違う意見になるんだなと思った。
学生としては褒めらたほうが嬉しいわけだけど、
否定的な意見もまたアイデアを深めてくれたと思う。

学校を出るとわかることがあって、
先生たちにアイデアを見てもらえるのって、あたりまえだけど今だけ。
下手でもいいのでとにかく見せるものを出すことが大切だと思う。
とくに大事なのはダメ出しをもらえること。
学校を出ると、自分の作品を好きな人と話す機会は増えていくけれど、
自分の作品のダメなところを指摘してくれる人にはめったに会うことがない。
そもそも、だめだなぁと思っている人はわざわざ個展に来てくれないんだね。
褒められることも大事だけど、否定されることは貴重。
あと他の生徒が講評されるのを聞くのも勉強になった。
先生が何を褒めて、何にダメ出しをするのか、先生の感覚を真似するチャンスになると思う。

コメントをどうぞ

Merry Christmas and a Happy New Year 2015!

ひつじがいっぴき、ひつじがにひき・・・、
ワクワクしながら眠ったら、
夢でサンタが待っていた。

2015xmas_絵

xmas

今回はひつじネタですね。
羊といえば、毛糸、といえば、セーターやマフラーということで、
当初はサンタちゃん達に毛糸のサンタ服を編むロボットと、
毛糸のサンタ服に着替えてるサンタちゃん案でいくことに。
ラフを描いてみるとなんか優しい感じになりすぎなので、
イソップ童話の「羊飼いと狼」(狼少年)がいいかもと次の案。
「サンタが来たぞ〜」と嘘をついてたら、誰からも信用されなくなって、
本当にサンタが来たのに誰も信じてくれない・・・。
面白いような気もするけど、う〜んなんか寂しい。
というわけで、ひつじがいっぴき、ひつじがにひき、となりました。
娘ができてからというもの、娘たちが喜びそうなネタにどうしてもなりますね。
早々に感想メールをくださった方に
「メリークリスマスと、メリーさんの羊がかかってる!?」と聞かれましたが、
あちゃ〜それは思いつかなかった〜、「メリーさんのメリークリスマス!」だったね〜。

♫ Mary had a little lamb
Little lamb, little lamb,
Mary had a Merry Christmas,
Its fleece was white as snow. ♪

さて、今日のクリスマスが終われば、
あっという間に今年も暮れが迫ってきます。

今年は何と言っても6月の個展が大成功に終わり、感無量でした。
前回につづいての中野市での開催で、旅行がてら遠くからも多くの方が来てくださいました。
せっかく遠くから来てくださったのに、
目当てのものが初日で行き先が決まってしまって手に入らなかった方、
今回こそはと朝から並んでくださってお目当てのものを手にしてくださった方、
初めて実物をみて大興奮してくださった方、
作り手の心が伝わってくると涙を流して感動してくださった方までいて、
今まで積み上げてきた仕事の何よりのご褒美と、
これからの作品作りへの力をいただきました。
やはり観てくださる方あっての作家であると、実感できる個展となりました。
ありがとうございました。

来年は少し小さめの個展(会場も小さいので)を、東京で開催する予定です。
みんな待ってた、「あいつ」がパワーアップして戻ってくるとか来ないとか?!
お楽しみに!!

今年もよい年でした、来年もよい年になるように、こつこつあせあせ頑張ります。
みなさまもよいお年を!

追伸:
クリスマスカードは個展に来て下さった方を中心にお送りしています。
個展に行ったけど芳名帳に気づかなかった方や、
個展には行けなかったけれども私も欲しいかもという方がありましたら、
<mail@take-g.com>までご連絡ください。
メールには郵便番号と住所、お名前を明記の上、カード希望と書いて下さい。
年賀状も兼ねていますので、今からでもお送りいたします!

コメントをどうぞ

中野市長の夢を聞く。

今日、中野市長が工房とギャラリーを見学にやって来ました。
急きょ、お借りして保管してあった作品たちに起きてもらって、
ギャラリーに集合してもい、ミニ個展を開きました。
こういった時に作品を貸してもらっているとほんと助かりますね。
(作品をお貸しいただいているKさんとTさんありがとうございます。)

DSC02028

市長は芸術に造詣が深く、とても楽しい話しができました。
とくに観光や市街地活性化のために、ギャラリーなどを活用し、
魅力ある美術工芸作家を紹介することで中野の魅力を発信したいとのこと。
観光を名所や名物に加えて、
その地域に根ざした「人」を見に来てもらうという新しい試みをしていきたい。
という市長の考えは、僕の考え方とピッタリ一緒で、盛り上がりました。
市長から「芸術分野の専門家としてアドバイスをして欲しい」と頼まれ、
恐縮ではありますがお手伝いできることがあればやりたいですと話しました。
人と地域を芸術で繫ぐ、人の魅力で地域も魅力的にして行く、との市長の夢は、
まさに僕の夢じゃないかと、嬉しい気持ちでいっぱいになりました。
作家としての僕を育み、たくさんの恩を受けて来た中野市に、
僕も何か返せるものができて来たんだなぁと感慨深く思いました。
自分の経験を、自分の作品以外にも生かすことができるなんて、
ほんとうにありがたいことですね。
(市長を連れて来て下さった山岸さんにも感謝します。)

市長が帰られた後、「僕も専門家になったんだぁねぇ」と妻と話し、
「たしかにいろんな経験して来たもんね、自信もたなくちゃ」と笑い合いました。

コメントをどうぞ