『江固二のエコジャポン』第二回
2008.2.6
電車に乗り席に座ると、不思議が目に飛び込んできた。
目の前に座っている若者がいろいろと気になるのだ。
帽子のつばが斜めになってしまっているは、
おそらくズッコケ三人組のファンなのだろう。
それは理解できたが、驚くべきはその若者、
耳から糸を出し、小さな四角いもの見つめニヤニヤしているのだ。
二駅我慢したが、抑えられない好奇心に身を委ねた。
「その耳から出てるものは何なんですか?」
思いきった。
「はぁ?何ってアイポッドだけど・・・ちょっと、何よ。」
若者は帽子のつばも直さずに答えた。
「え、ポット?・・・ほぅ、ヘソで茶を沸かす何てなことはいうけれど、
東京の人は耳で茶をねぇ。」
お湯はそのつど必要な量を沸かすほうが、電気ポットを使うよりエコだとは思うが、
耳で沸かせるのであれば越した事はない。
「じゃ、そっちは?何を見てニヤニヤしてるの。」
「ニヤニヤしてないよ失礼だなぁ、これはケータイ。」
あぁ、これがケータイか。
さすがに江固二も聞いたことはあったが、たしか電話じゃなかったと思った。
若者は困惑している江固二に、
メールのことやミクシーやらモバゲーのことなどを教えてくれた。
複雑だけれど全体としては友達ができるもののようだと理解した。
顔も分からない人間を友達と呼ぶのには抵抗を感じたが、
特定の場所に行かなくとも、
手紙すら書かなくても友達ができるなんてエコだなぁと思った。
人間関係までエコマークである。
東京のエコはかなり進んでいるのだ。
江固二はスローなだけじゃだめだと反省し、かぶっていた帽子を少し斜めにした。
つづく。