2008年02月 一覧

工芸って何?

前回のブログにつづき、美術と工芸を分つものは何かです。
そのモヤモヤ感の正体があるならば、探してみようということなんですが、
そもそも工芸とは・・・。
みなさんは「工芸って何ですか?」と聞かれたら何と答えるでしょう。
「抹茶茶碗とかの陶器じゃない」「なんか伝統的な手づくりのヤツ」
「漆塗りの御重とか、古い感じの」などでしょうか。
正直よく分かりませんよね。
工芸をしていると自覚している人でも、明確に答えることは難しい。
辞書的には[製造に関わる技芸。美的価値をそなえた実用品をつくること。
陶芸・木工・染色など。「伝統工芸」]とあります。
「実用品」というあたりが美術とは違うようですが、
前回のブログの『工芸の力―21世紀の展望』展に並んだ作品など
実用のない工芸品はもちろんありますし、
実用的な美術作品というのも存在するでしょう。
あえて今日的な意味を雰囲気で定義しようとすれば、
伝統工芸から日曜クラフトまで、主に自然素材を主に手で制作したものとなるでしょうか。
まぁ、主に手でつくっていれば工芸といえちゃいます、なんでもありです。
言葉というのは厄介なもので、生まれてしまうといろんな意味や勘違いまでを吸い上げて、
どんどん成長して、いつのまにやら「私はいったい何者なのだ?」とか言い出して、
自分探しの旅に出てしまいます。
そんな時は、「お前はお前だろ、現実を見ろよ」などといっても聞く耳は持ちませんので、
その言葉がいつどのようにして生まれたのか知ることで、
無駄な旅から連れ戻すことができるはずです。
工芸とは何か、工芸と美術の関係(区分)について、
樋田豊次郎著『工芸の領分』という本を教科書に考えてみようと思います。
まずはいきなりですが、
「工芸と美術の区別は、近代になって制度的につくられたものである。
両者がすでに江戸時代から区別されていて、それを明治政府が追認したのではなく、
反対に、両者の区別が明治政府による行政的産物だったことは、
近年の近代美術研究が明らかにしたところである。
 だいたい明治政府にしても、明治二十年頃までは美術と工芸を一体視して、
その総体を『美術』と呼んできたのだ。
元々日本文化には両者を分け隔てる考えはなかったし、いやそれどころか、
美術や工芸という概念自体がなかったのだから、
時代が近代になったからといって両者を区分することなどできるはずがなかった。」
とのことで、
明治政府による制度的な工芸と美術の区別は、
当初は「見かけ」の区別に過ぎなかったというのです。
え、そうなの?ですが、なんでそんな区別をしなければならなかったのでしょう。
つづきは次回。

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工芸の力―21世紀の展望


先日、東京国立近代美術館 工芸館に『工芸の力―21世紀の展望』を見に行きました。
この展覧会は工芸館の開館30周年を記念して『工芸館30年のあゆみ』と題した、
記念展?に続き記念展?として開催されました。
簡単にいえば、近代の工芸を振り返り、これからの工芸の未来について考えようというもの。
工芸をする者の端くれとして、絶対押さえておきたい展覧会です。
もちろん?、?両方に行ってきました。
?においては、浜田庄司、高村豊周、松田権六、佐々木象堂、四谷シモンなどなど。
書き出したらきりがない巨匠達の作品がズラリ並び、
工芸館の成り立ちとともに、日本の近代工芸の足跡を一気に見渡すことができました。
ほとんどの作家が1作品だけなので、少し薄味なのは否めませんが、
図録だけでしか見たことのなかった作家の作品を多数見ることができ、貴重な体験でした。
?では、橋本真之、福本潮子、前田昭博、高見澤英子、須田悦弘、北川宏人などなど、
既に巨匠から、これからの工芸界を背負って立つであろう若手まで、
作家1人1人にある程度のスペースがさかれ、個性の強い濃密な表現がひしめき合う、
見ごたえタップリの展示内容でした。
中でも橋本真之さんの鍛金による巨大な作品は圧巻。
そして、どうしても気になってしまうのは須田悦弘さん、北川宏人さんの作品。
これを工芸と分類する根拠は何か、いやそもそも工芸とは何か・・・。
作品の質の高さ言うまでもないですが、作品から滲み出るものは「表現」のなんたるか。
学校でいわゆる工芸を勉強したぼくが分からないのだから、
一般のお客さんには工芸の企画展ということに置いて、幾分難解なラインナップだと思います。
分からないのは見る側だけではないようで、
作品の紹介とともに展示されていた作家からのコメントを見ると、
普段は現代美術として作品を発表している須田悦弘さんはこう言っています。
「今回、工芸館から声をかけられた時、少しだけ戸惑いがありました。
 でも少しだけです。なぜなら自分にとっては工芸とか美術とかの区分は
 よく解らないからです。もう少し言えばその区分はどうでもいい、
 下らないものに思えるからです。しかし今現在、美術と工芸にははっきりとした区別、
 というよりはモヤモヤとした溝の様なモノがある気がします。
 その何ともスッキリしない空気が、この展覧会で多少どうにかなればいいなぁと思います。」
なんとも正直な文章で、まったくその通りだと思います。
こんな風にモヤモヤした空気に対して、
ハッキリと言ってしまう空気の読めなさ(読まなさ)かげんが、
須田悦弘さんを「現代美術」と言う場で美術家たらしめるのだと思います。
とは言え、美術と工芸、または美術家と工芸家とを分つものは確かにあり、
そして確かさはない。
この話題もう少し掘り下げたいので、次回に持ち越しです。

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光。

わが家にもついに、光がっ!
まぁそんな大袈裟なことではなくて、フレッツ光です。
中野市の吉田にもようやく今年の2月辺から、
NTTさんが光をそそいでくれたので、早速導入。
朝も早よから工事にきてくれました。
ぼくはプロバイダーのぷららに契約変更の電話をいれる。
そこで、問題はっせい。
「お客さまの契約プランは、セットプランですか?パックプランですか?」
「え?わかりません。」
「NTTの方から言われていると思いますが、、、」
「う~ん、言われたかなぁ、書類にも書いてないですけど。」
「セットかパックかわからないと、お話を進められませんので、
 NTTに問い合わせて、もう一度ご連絡ください。」
「わかりました。」
しかしセットとパックって名称はややこしくないか。
プルルルル、プルルルル。
「はい、フレッツサポートセンターです。」
「プロバイダーに言われて、私の契約がセットプランか、パックプランか知りたいんですが。」
「えっと、セットプランかパックプラン?でございますね。
 少々お待ちください、確認いたします。」
あまり良くわかっていない様子。
「お待たせいたしました。お客さまのご契約は『個別セットパックプラン』になります。」
「・・・。セットかパックかと聞かれているんですけど。」
ていうか、個別なのにセットって?更におまけでパックまでしちゃったよ!
ネーミングおかしくないか。
どんな眠い会議してるとこういう名前に決定してしまうんだろう・・・。
「そのようにご契約されているので、セットかパックかこちらでは分かりかねます。」
「そう言われても、NTTとの契約ですから他に聞く所がないです。」
「少々お待ちくださいませ。」
こういう時って、ほんと誰が間違っているのか分からなくなり、
自分がおかしなことを言っているんでは?と疑心暗鬼。
「お待たせいたしました。ぷららはセットかパックか2択で聞いているんですね?」
「はい、そう言っていたと思います。」
「2択でしたら、セットだと思います。」
ファイナルアンサー?っておいおい、いつからクイズになってたの。
プルルルル、プルルルル。
「NTTに確認しましたら、セットプランでした。」
「わかりました。ではお手続きの方、続けさせていただきます。」
お、正解だったのかな。まぁ2択だしね。
名前や住所などなど一通り確認していって、また難題が。
「ぷららには独自のフィルタリングサービスがございまして、
 3段階に設定することができます。
 暴力的なサイトやアダルト的なサイトの閲覧を規制することができますが?」
「規制ですか、それってどのくらいのレベルなんでしょうか?」
「どれくらいのレベル・・・ですか?」
たしかにレベルと言われても困るだろうね。
う~ん少し考えて思わず、
「例えば『必殺仕事人』のページを見ることは可能なレベルですか?」
と聞いてしまう。
題名だけだと『必殺』だけにかなり暴力的だが、
藤田まことが演じる中村主水のしがない公務員的お役人が、実は・・・、
というなんとも痛快でいてちょっぴり切ない時代劇の定番中の定番。
これがフィルタリングされてしまう様なサービスならば、サービスにあらず!
「すみません、具体的にはわかりかねます。」
笑い出しそうなのに、こらえながら真面目に答えるオペレーターさん。
ぼくは自分で言っといて笑ってしまう。
こういう時の感じほどおかしいことってないですね。
「それじゃあ選びようがないじゃないですかぁ、どうしよう。」
実際ある程度具体例がなくては、判断のしようがないと思う。
「変更は可能ですのでとりあえずフィルタリングしないということで、いかがでしょう。」
こんな調子で、3項目のフィルタリングサービスをすべて回避。
一連の手続きで、釈然としないハッキリしない選択と判断をせまられ、
なんとも言えない気持ちになった。
この気持ちどんな風にセットしてパックすれば個別に解決できましょか。
そんなこんなで、無事変更手続き完了、工事も終了。
おおっ、光は早い。
なんだかんだで、みんな適当でも地球は回ります。

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