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仏像~一木にこめられた祈り~展


帰省中に東京国立博物館に特別展『仏像~一木にこめられた祈り~』に行ってきました。
「一木にこめられた祈り」なんてちょいとオシャレな副題がついていますが、
ようは一本の大きな木から彫り出したんだぜ、どんなもんだい!と言う内容です。
この特別展目玉の仏像は、滋賀県の向源寺からはるばるやって来た十一面観音菩薩立像
門外不出とされていたのに気まぐれにやって来てくれたようです。
ほんとに「美しい!」の一言でした。
奇跡的な出来栄えです。
周りの仏像が素朴な方達だったので、いような程美しく、オーラを放って輝いていました。
これ以上飾り立てるとやりすぎかな?って感じの、ちょい手前、
すごくいい案配で仕上がっていてしばし見とれてしまいました。
僕が好きだなぁと思ったのは木喰(もくじき)の三十三観音菩薩像です。
十一面観音菩薩立像が美人系なら三十三観音菩薩像はかわいい系ですね。
木喰の仏像はどれもかわいい感じで親しみやすく(特別なオーラ?がない)、
誰でも作れそうな感じでいいです。
(もちろん仏像に神様を宿すことは誰にでも出来ることではありませんが)
木喰と並んで円空もいいんですが、小さい頃に父親にやたら見に連れて行かれたせいか、
なぜだか素直に見ることができません・・・不思議です。
円空は生涯に12万体彫った(たぶん自称)ってのがどうも・・・?です。
木喰みたいに2000体位って言われた方が「おお~!」て思えます。
もちろん円空は素晴らしい仏師ですし、好きではあります。
この特別展なぜに一木?で集めたのかよく分かりませんでしたけど、
とてもありがたい方達が集合していますので、
同じ上野公園で開催中のダリ展と合わせて行ってみてはいかがでしょう。
12月3日までです。

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桐本泰一さん『うるしの可能性』

今日は先日ブログにも書いた企画展のお誘いを頂いている
ギャラリー「桜華書林」の桜井さんに呼ばれ桐本泰一さんの作品展を見に行きました。

桐本泰一さんと聞いてピンと来た方もいると思います。
最近では今年の東京デザイナーズウィークの「100%デザイン東京」で
インテリア向けの漆仕上げのパネル展示を見た方も多いのではないでしょうか。
他にも小泉誠さんのデザインした「重平」の製造監修や、
あの「スミレアオイハウス」の企画にも携わっています。
スミレアオイハウスに住む萩原修さん企画の
いつものうるし」という本の監修や、
グッドデザイン賞受賞の「ギャラリーわいち」などなど・・・
萩原修さんらも参加している「コドモノコト」にもかかわっていて、
僕の関心のあることに、「あ、それ私です。」「あ、それ参加してるんです。」と
いろいろなコトが繋がってしまって、ビックリ!でした。
なにしろ『漆デザインプロデューサー』桐本泰一さんの漆を通じての幅広い仕事に、
ご本人と漆のフトコロの深さを感じました。

桐本さんは石川県輪島市に生まれ、筑波大学芸術専門学群生産デザインコースに学び、
コクヨ(株)意匠設計部入社後、実家である輪島朴木地工芸桐本木工所ヘ入社します。
高度成長期頃から高級美術工芸品のイメージが強くなった輪島塗を、
「普段の生活の中で、もっと気軽に使って欲しい」との思いから、
金属スプーンでもキズのつかない非常に高い硬度の得られる仕上げを施したカレー皿、
住宅や店舗の扉や家具、壁の美しいマテリアルとしての漆の提案をしています。
お話の中で、とくに漆仕上げの玩具のアイデアの話が興味深かったです。
「漆には殺菌、抗菌作用があるんです。」化学的実験で漆とプラスチックの
プレートに菌をのせて放置すると、漆の方はすぐに死滅してプラは増殖したそうです。
おせちや運動会のお弁当を漆の重箱に入れるという
昔の人の経験に基づいた知恵に、こうした化学的裏付けがなされたわけですね。
(さらに、漆塗りの花瓶に挿した花はガラスなどに比べ2倍長持ちするそうです。
水自体も美味しくなるらしく、漆塗り水筒も自分用に作ってみたとか)
輪島ではぐい飲みなど漆塗りのモノをあかちゃんの歯固めにしているそうです。
漆の殺菌、抗菌作用を生かして、漆塗りの積み木や歯固めを考えているとのことで、
漆のツルッとした感触は口に入れるのに気持ちよさそうですね。
ほんとうに沢山のお話を聞いて、漆の魅力や特性、その多岐にわたる応用方法など、
気がついたら2時間ぐらいのすばらしい講義になっていました。
落ち着いた口調で情熱的に漆をかたる桐本さんの言葉に聞き入ってしまいました。
魅力的な漆の品を生み出し、漆の新しい提案をする桐本さんの情熱と行動力には、
新しい仕事を生み出して輪島の漆の復興ををしたい、産地として生き延びていきたい、
との願いをつよく感じました。
大げさじゃなく輪島を背負っている人なんだなぁと思いました。
今日はほんとうによい日でした。
楽しいお話を聞かせてくれた桐本さん、呼んで頂いた桜井さんに感謝します。
ちなみに「桜華書林」は現代アートから工芸までを、若手から大御所まで扱い
(草間、奈良、村上、山本容子、内田鋼一などなど)、
かなりキレのあるチョイスで長野ではかなり特異な存在です。
一見普通の住宅のようなギャラリーはとても雰囲気がよく桜井さんの
「アートを生活の中で楽しむことを提案したい。」との考えがかたちになっています。
桐本泰一さんの展覧会は11月10日から19日まで、
12時から7時(最終日5時)です。
場所はここです。
ちなみに最終日にも桐本さんが在廊しています。
お近くの人はぜひぜひ見に行ってみてはいかがでしょうか。

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新垣勉コンサート


新垣勉 SPECIAL SITE より転載)
今日は中野市民会館ホールに新垣勉さんのコンサートに行ってきました。
仕事を5時で上げてちょいと行ってみましたが、会場は思った以上に沢山の人
中野の人は音楽好きが多いようです。
ちなみに中野は『中山晋平の里』がひとつのうりです(シャボンだ~まとんだ♪の人ですよ)。
さらにちなみに中野市からは高野辰之(おぼろ月夜)、久石譲(トットロ、トット~ロ♪)など
名作曲家、名作詞家がいっぱい誕生しています。
その晋平・辰之メモリアルで新垣さんが来てくれたんです。
『希望の光 魂のテノール』
新垣さんは生後まもなく助産師の過ちで家畜用の劇薬を点眼され失明されたそうです。
1歳の時に両親が離婚し、母方の祖母にひきとられましたが、
中学2年の時に祖母が他界し天涯孤独になりました。
「自分ほど不幸な人間はいない」と自分の境涯を呪い憎しみを抱いたそうです。
そんな時にラジオから流れる賛美歌に感銘を受け教会を訪ねます。
そこで牧師と出会い、大学で神学を学ぶ中で世界的ヴォイストレーナーに出会うなどして、
本格的に声楽を学び始め、34歳で武蔵野音楽大学へ入学しました。
世界的ヴォイストレーナーのアンドレ・バランドーニ氏から声を褒められたことで、
父への憎しみが消え、逆に感謝の気持ちが湧いたそうです。
(パンフレットから超要約)
深い苦しみと絶望を乗り越えた新垣さんの歌は、
とても大きくて、広くて、つよくって、感動しました。
点字をなぞりながら歌う姿で全盲であることを意識しましたが、
自信に満ちあふれ、全身で僕たちに音楽を伝えようとする姿に『完全』を感じました。
「つよい」にもいろいろあるけれど、こんなつよさが好きですね。

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