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「中川岳二寄木作品展」のお知らせ。

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3月16日から長野県中野市にある「中野陣屋・県庁記念館」 にて展覧会を開催します。
この展覧会は現在絶賛製作中(おい!完成するのかい?!)の
新作「たかやしろ 」の完成発表(えっ!完成するの?)と合わせて、
過去の作品をいくつか展示(大小合わせて50点ほど)します。

初日3月16日には「オープニングセレモニー」があり、
音楽家でサックスプレーヤーの小布施由香さんをお招きして、
作品鑑賞と音楽鑑賞を同時にお楽しみいただける時間を設けました。

3月31日と4月1日は同館を中心に「中野 ひな市」が開催されますので、
ぜひ長野県中野市に足をお運びください!

「中野陣屋・県庁記念館」と、聞いて不思議に思う人も多いかもしれません。
中野市でなんで県庁記念館なんだろう?と。
おそらく中野市民でないとほとんど知られていないことなのかもしれませんが、
明治3(1870)年に中野村(現中野市)に県庁を置く「中野県」ができました。
ただ、できるやいなや中野騒動が起きて焼失、
明治4(1871)年、中野県庁を長野村に移転して長野県ができました。
まぁ、ありえないことですが歴史のイフを思うなら、
中野騒動を未然に防ぐことや鎮圧できていた歴史があったとして、
1991年6月にサマランチ会長が発表したのは
「中野オリンピック」だったのかもしれません。

さて、そんなイフを感じることのできる場所「中野陣屋」は美術館ではないので、
展示の規模はそれほど大きくはないのですが、
中川千恵子のイラストレーション展の同時開催や、
小布施由香さんや地元の仲間たちの協力によるオープニングセレモニーなど、
中野市ならではの美術や音楽を身近に感じてもらえる
アットホームな展覧会になるかと思っています。

開催中はできる限り会場にいる予定ですので、
作品について色々お話しできるかと思います。

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高社山、作り途中。

ようやくここまで来ました。
長かったし、今回はとくに重かった。
今までで一番大型の作品を作りたいので当たり前なんだけど、重い。

中野市の関係施設で作品の完成発表の展覧会を開いていただけることとなり、
より急ぎで作業しなければならず、早起き、休みなしで仕事をしています。
ずっと集中して作業をしていたので、途中体力の限界がきているのに気がつかず、
倒れかけました。

今まではどんなに忙しくても、そんなことまではならなかったのだけど、
材料の大きさと重さにじわじわと体力を奪われていたようです。

とはいえ、大型の作品を作れるチャンスをくれた方々の期待に応えられるように、
最後まで集中していきますよ!
この大きな寄木の塊を削り出すのはさぞ楽しかろうと、ニヤニヤしながら頑張ります。

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まだ蝉の鳴く頃です。「冬前」は材料の使用場所です。

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うちの工房の機械では少しはみ出ます。幅広の手押鉋盤が欲しいですね。

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幅広の材は製材中の木の反りに注意です。作業の手順を考え、
同じ材料を連続して加工しないようにしています。

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図面通りに厚みが取れるか微調整。

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チークの厚板、重いです。

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徐々に寄木していきます。

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上の板はパドックという比重が高い木なのですが、
やたら重いなぁと、ウォールナットと貼り合わせた状態で計ってみたら、
これだけで26キロもあり、この先が思いやられました。

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けっこう山っぽくなって来た。

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無理に元気を出しているさま。この後倒れかけます。

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ここからは一人で材料を動かせなくなります。

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電気ポッドのようなものは加湿器です。
大きな面を寄木する時には、ボンドの乾きを遅くするために工房の加湿が欠かせません。

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ここまで来て、寄木がズレたら大変です。慎重に。

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綺麗だぜ。

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ちゃんと図面通りに収まりました。

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最後の圧着に向けて、ダボ穴開け。木くずがそれぞれの木の色ですね。

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さぁ最終コーナーです。渾身の力を込めて・・・、手の平は豆だらけです。

今年度末、完成予定です。

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牛久自然観察の森。

先週末に茨城県牛久市にある「牛久自然観察の森」に行ってきました。
この日は施設内で育った木から「木のおもちゃ」を作るために、
材料となる木を切り倒すことになりました。

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「牛久自然観察の森」内には針葉樹や広葉樹の様々な樹種の木が育っています。
その中で、施設内の畑の南側で育った山桜の木が大きく育ち、
畑に日陰を作ってしまうことから、今回材料とすることが決定しました。
偶然ではありますが、まだ桜の木で「ベイビーベア」を製作していなかったこと、
山桜の赤みを帯びた優しい色が綺麗であることから、樹種の選定としてもバッチリです。

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写真の「ベイビーベア」は2017年の「もくもくすくすくプレザント」で栗の木(左)から、
2016年のケヤキの木(右)から生まれた木のクマです。

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根元から少し上がったところで二股に別れているので、木の家具の材料には少し細いですが、
木のおもちゃであれば十分な材料になりそうです。

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離れて見上げると、根元の太さのイメージよりも随分高く成長しています。

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切り倒される直前に少し雨が降ってきてしまいました。
いよいよ山桜の命をいただきます。

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まず倒す方向に対しての山桜の前方に「受け口」を入れます。

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次に後ろから「追い口」を入れていき、
畑の空いている場所に確実に倒れるように、ワイヤーをかけて引っ張りながら倒します。

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みしみし…と、音を立ててゆっくりと倒れ始めました。

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倒れる瞬間、目の前で見ているとかなり迫力があります。

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幹の周辺部分が白っぽいのがわかると思います。
「白太」と呼ばれる部分で、材料としてはできるだけ避けたいところです。
材料として使える中心は「赤身」と呼ばれます。

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倒してみると、これだけの枝を一本の幹で支えていることに驚かされます。

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色の濃淡があり、とても綺麗な印象です。

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夕暮れには雨が雪に変わった寒さの中、この山桜の花の芽はもう膨らみ始めていました。
この芽が花びらを散らすことはありませんが・・・。

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チェンソーが挟まっちゃいました。
山桜の木も一矢を報いてきましたね。

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咲かなかった桜に変わって山桜のクマが生まれるならせめてもと、思いたいです。

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さて、牛久自然観察の森は、
環境庁が昭和59年度から5ヶ年間の補助事業として実施した
「身近な自然活用地域整備事業」で整備された施設だそうです。
良好な自然環境である里山としての平地林の保全、
利用者が自然とふれあい親しむことのできる施設として誕生しました。

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2011年の東日本大震災に伴う原発の事故の影響から、
室内でも自然の観察や森に親しむ施設へとリニューアルし、
施設内の水辺の生物を観察できる美しい水槽と、
沢山の木のおもちゃが集まる「木育広場」がつくられました。

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観察の森を案内するネイチャーセンターの機能を残しつつ、
室内でも自然と触れ合える施設に見事に生まれ変わっています。

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全国から選りすぐられた、ここでしか遊べない木のおもちゃも数多くおかれ、
来た甲斐のある場所になっていると思います。

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「take-g」に影山が加わってから、
国産材や県産材を利用したおもちゃを作り、地元に根ざした物作りを進めてきました。
手の届くすぐそこの森に木が余っているのに、
輸入材を使うという木工の矛盾を少しでも変えれないものかと、
できることから少しづつ手探りでやっています。

小さな声でも、とにかくあげてみるものだなと思います。
前々回の僕の個展を牛久自然観察の森の職員の方が見にきてくれて、
「テイクジーズー」を施設のために購入していただきました。
そして、去年の飯山市の展覧会に別の職員の方がきてくれて、
「もくもくすくすくプレゼント」のことを知っていただき、
今回の企画につなげてくださいました。

木のクマになる材料を、立ち木を切り倒すところから関わることは、
影山も僕も当初からイメージしていましたが、そう簡単ではないと思っていました。
美術館での展覧会が開催できた時も思いましたが、
強く願って行動していれば、必ず叶うんだと思います。
まだ始まったばかりの企画ではありますが、
僕らの夢を叶えてくれた牛久自然観察の森の皆さんには心から感謝します!
この山桜は、必ず「美しい」クマに生まれ変わらせますので、ご期待ください!

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