桐本泰一さん『うるしの可能性』

今日は先日ブログにも書いた企画展のお誘いを頂いている
ギャラリー「桜華書林」の桜井さんに呼ばれ桐本泰一さんの作品展を見に行きました。

桐本泰一さんと聞いてピンと来た方もいると思います。
最近では今年の東京デザイナーズウィークの「100%デザイン東京」で
インテリア向けの漆仕上げのパネル展示を見た方も多いのではないでしょうか。
他にも小泉誠さんのデザインした「重平」の製造監修や、
あの「スミレアオイハウス」の企画にも携わっています。
スミレアオイハウスに住む萩原修さん企画の
いつものうるし」という本の監修や、
グッドデザイン賞受賞の「ギャラリーわいち」などなど・・・
萩原修さんらも参加している「コドモノコト」にもかかわっていて、
僕の関心のあることに、「あ、それ私です。」「あ、それ参加してるんです。」と
いろいろなコトが繋がってしまって、ビックリ!でした。
なにしろ『漆デザインプロデューサー』桐本泰一さんの漆を通じての幅広い仕事に、
ご本人と漆のフトコロの深さを感じました。

桐本さんは石川県輪島市に生まれ、筑波大学芸術専門学群生産デザインコースに学び、
コクヨ(株)意匠設計部入社後、実家である輪島朴木地工芸桐本木工所ヘ入社します。
高度成長期頃から高級美術工芸品のイメージが強くなった輪島塗を、
「普段の生活の中で、もっと気軽に使って欲しい」との思いから、
金属スプーンでもキズのつかない非常に高い硬度の得られる仕上げを施したカレー皿、
住宅や店舗の扉や家具、壁の美しいマテリアルとしての漆の提案をしています。
お話の中で、とくに漆仕上げの玩具のアイデアの話が興味深かったです。
「漆には殺菌、抗菌作用があるんです。」化学的実験で漆とプラスチックの
プレートに菌をのせて放置すると、漆の方はすぐに死滅してプラは増殖したそうです。
おせちや運動会のお弁当を漆の重箱に入れるという
昔の人の経験に基づいた知恵に、こうした化学的裏付けがなされたわけですね。
(さらに、漆塗りの花瓶に挿した花はガラスなどに比べ2倍長持ちするそうです。
水自体も美味しくなるらしく、漆塗り水筒も自分用に作ってみたとか)
輪島ではぐい飲みなど漆塗りのモノをあかちゃんの歯固めにしているそうです。
漆の殺菌、抗菌作用を生かして、漆塗りの積み木や歯固めを考えているとのことで、
漆のツルッとした感触は口に入れるのに気持ちよさそうですね。
ほんとうに沢山のお話を聞いて、漆の魅力や特性、その多岐にわたる応用方法など、
気がついたら2時間ぐらいのすばらしい講義になっていました。
落ち着いた口調で情熱的に漆をかたる桐本さんの言葉に聞き入ってしまいました。
魅力的な漆の品を生み出し、漆の新しい提案をする桐本さんの情熱と行動力には、
新しい仕事を生み出して輪島の漆の復興ををしたい、産地として生き延びていきたい、
との願いをつよく感じました。
大げさじゃなく輪島を背負っている人なんだなぁと思いました。
今日はほんとうによい日でした。
楽しいお話を聞かせてくれた桐本さん、呼んで頂いた桜井さんに感謝します。
ちなみに「桜華書林」は現代アートから工芸までを、若手から大御所まで扱い
(草間、奈良、村上、山本容子、内田鋼一などなど)、
かなりキレのあるチョイスで長野ではかなり特異な存在です。
一見普通の住宅のようなギャラリーはとても雰囲気がよく桜井さんの
「アートを生活の中で楽しむことを提案したい。」との考えがかたちになっています。
桐本泰一さんの展覧会は11月10日から19日まで、
12時から7時(最終日5時)です。
場所はここです。
ちなみに最終日にも桐本さんが在廊しています。
お近くの人はぜひぜひ見に行ってみてはいかがでしょうか。

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コメント(1)

  1. 桐本泰一/ギャラリーわいち

    2000年度新領域デザイン部門でグッドデザイン賞を受賞した「桐本泰一/ギャラリー

    グッドデザイン賞主催者公式ウェブログ2006.11.14 10:16

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