『江固二のエコジャポン』第四回

「すみません、決まりですから・・・。」
食べられないとなるとよけいに食べたくなるもので、
江固二はくやしい気持ちになった。
「お気持ちは分かるんですが、
レジのシステムで時間の過ぎたものは会計できないようになっているんです。」
グ~ッ、また江固二の腹がなった。
恥ずかしさでは、かなり絶妙なタイミング。
かわいそうに思ったか、奥にいた別の店員が声をかける。
「たしか明太子ならまだあったと・・・」
「そんなんじゃないんだよ、タラコじゃなきゃ!あぁ~~!」
江固二はまっ赤な顔をしてコンビニを飛び出した。
うっすら泣いているようだった。
東京は冷たい、
そんな風に感じている今の江固二とは対照的に、
冬の柔らかい日差しがポカポカと暖かく、
よく手入れされた公園の木の枝には、鳥が気持ちよさそうにとまっている。
江固二はベンチに座り、持っていたガムを噛んでいた。
あと10分早くコンビニに入り、タラコをゲットしなかった自分を恨んだ。
「あぁ、腹が減った・・・。」
目の前をヘッドバンキングしながら横切るハトを見てつぶやいた。
焼き鳥ならネギ間だよなぁ、などと考えてしまうほどに空腹だ。
ハトを目で追うと、進む先には餌をまくおじさんの姿。
もう餌でもいいから欲しいなぁと、ポカッと口をあけていると、
「おい、兄ちゃんこっちこいよ!」
おじさんが手招きしている。
「どうした青い顔して、これでも食うか。」
おもむろにビニール袋から、おにぎりを出す。
「えっ。あ、ありがとうございます。」
ほんとうに餌をくれるとは思わず、ビックリして見てみると、
なんとタラコのおにぎりである。
江固二の顔に笑顔が戻り、ほほに涙がつたった。
「なんだよ、泣くこたねえだろ。そんなに腹へってんのか?なんなら弁当もやるよ。」
「そんなぁ、わるいですよ、こんなにいただいちゃ。」
と、言いながらも腹のすいた江固二は、鞄からマイ箸を取り出し食べだした。
「気にすんな、今日はミスったとか言って、コンビニの兄ちゃん沢山くれたから。」
江固二はギョッとして消費期限を見た。
弁当は昨日の日付け、おにぎりはどうやらさっきのものらしい。
「なぁに大丈夫だって。この季節なら一週間くらい平気な時だってあるし、
防腐剤の効果が薄れてきてかえって旨いくらいだって。」
「そうなんですかぁ!」
そう言われてみると、すごく美味しい気がしてきた。
タラコのおにぎりもほおばる、めちゃウマである。
そう言えば以前、LEMLの会報でも賞味・消費期限の曖昧さと、
残飯問題について特集されていたことを思い出した。
どういった内容だったかよく思い出せないのだが、
こんなところで実践してい人に出会えるなんて、東京のエコは進んでいると思った。
つづく。

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